スイス・日本への想い

（2005.10.24の日記）

　　　　　　スイスへの想い・日本への想い

　　　　　　今年は帰るつもりのなかった日本に帰ることになり、チケットの手配も完了し、

　　　　　　Wir gehen nach Japan～♪

　　　　　　と、ダンナと小躍りをしています。かなりうれしいです。

　　　　　　帰れないわけじゃなかった日本。
　　　　　　いつも「帰っていいんだよ」と言ってくれるダンナ。

　　　　　　今年は帰らないって決めたのは、自分。

　　　　　　でも、故郷・日本に対する想いはいつもあった。

　　　　　　友達から「今年は帰ってこないの？」と聞かれ、心が揺れた。

　　　　　　友達に辛いことがあって、「今、思いっきりあなたと語りたい。」という手紙を見て、心が揺れた。

　　　　　　18時すぎにゴーと音がする。
　　　　　　我が街をかすって飛んで行く「ＪＡＬ・成田行き」だ。
　　　　　　キッチンの窓から見ることができる。
　　　　　　間近を飛んでいくわけではないが、知っているとどこの会社かわかる。

　　　　　　10月からは運航していないが、９月末まで、ほぼ毎日見られた。

　　　　　　それを見ると、心が揺れた。

　　　　　　スイスに移住する前やしてから、最低でも１年に一度は帰りたいというか
　　　　　　「帰らせてよねー。」とえらそうに思っていた。

　　　　　　スイスに来てから１年２ヶ月の間に、２回の里帰りをしているので、
　　　　　　私はかなり頻繁に日本に帰っているように思える。

　　　　　　１回目は移住して半年後、３週間の滞在。

　　　　　　まだやり足りない、居足りない気持ちがいっぱいのまま、スイスに戻った。
　　　　　　日本語が不自由なダンナと、どこに行くにも一緒だったのも、かなり疲れた。

　　　　　　２回目は１回目から８ヶ月後。
　　　　　　ダンナ４週間、私はダンナを見送り、もう３週間一人で滞在した。

　　　　　　はじめの頃は、私一人が長く滞在するのを嫌がっていたダンナだったが、
　　　　　　１回目の滞在の慌しさでよくわかったのか、別々に帰ることを了承してくれた。

　　　　　　この滞在は「もうスイスに戻ろう」と思えるくらい、満足した。

　　　　　　自分のわがままで一人で日本にいる時間を作ってもらったのに、ダンナ抜きだとさみしかった。
　　　　　　そして、私がいない間、ダンナに大変なことがあり、私はそばで支えることができなかった。
　　　　　　それもすごく後悔した。

　　　　　　日本からスイスに戻ってくると、エネルギーがかなりいる。

　　　　　　日本に帰っても、最初のうちは何か変な感じがするが、すぐに感覚が戻る。
　　　　　　でもスイスではそうではない。
　　　　　　つい何週間前まで、ここに暮らしていたのに、すぐには感覚が戻らなかった。

　　　　　　スイスにまだまだ慣れていない証拠だ。

　　　　　　そして、情緒不安定になったりする。

　　　　　　せっかく少し覚えてきたドイツ語も、すぐに忘れる。

　　　　　　私は思った。

　　　　　　しょっちゅう帰っているから、いつまで経ってもスイスに慣れないし、
　　　　　　ドイツ語もすぐ忘れるんだ、と。

　　　　　　もっとスイスに根をはりたい、ここが私の居場所なのだから。
　　　　　　次に日本に帰るのは、もっとスイスに慣れてからにしよう。

　　　　　　そう思った。

　　　　　　これが日本には今年帰らないと決めた一番の理由。

　　　　　　そして、それなりに長くいようと思うと、ダンナとは離れ離れになる。
　　　　　　一人になる時間が必要な私。結婚したって、その性格は変わらない。

　　　　　　でも、ダンナを一人に長いことさせるのは、心が痛む。
　　　　　　本人がいいよって言ってくれても。

　　　　　　せっかく縁があって夫婦になったんだもの、
　　　　　　楽しいことも一緒に分け合いたい。

　　　　　　これが第二の理由。

　　　　　　週末にひょっこり帰れる距離だったら、また違っただろう。
　　　　　　一旦里帰りするとなると、週もしくは月単位だ。
　　　　　　今の私の中には、一旦こちらの生活を止めてから、という思いがある。

　　　　　　結構それって、めんどくさい。

　　　　　　これが第三の理由。

　　　　　　あとは、金銭的な理由。

　　　　　　でもね、でもね、やっぱり日本は私の故郷。

　　　　　　いくらスイスで頑張っていくって決めたって、私の大好きな人達が住んでいるところ。

　　　　　　たまには会いたいんだよー。

　　　　　　メールじゃなくって、直接会って、いっぱいいっぱい話がしたいんだよー。

　　　　　　日本のおいしいものも食べたいんだよー。

　　　　　　何も考えずに、慣れ親しんだ街をぶらつきたいんだよー。

　　　　　　言葉の壁も関係なく、テレビを見たいんだよー。

　　　　　　のほほんとスイスで暮らしているけど、やっぱりどこかで力んで生きている。
　　　　　　ちょっと頑張りすぎちゃったかもしれん。

　　　　　　いいよね、今回日本に帰っても。

　　　　　　１ヶ月間、羽をのばしても。

　　　　　　そしたら、またスイスに戻って、頑張るからさ。

　　　　　　今は日本に帰って、エネルギーの蓄えが必要だから。

　　　　　　海外に住むのってラクじゃない。

　　　　　　そんなのわかってて、覚悟して、スイスにやってきた。

　　　　　　でも、ときには私の故郷でゆっくりしたいから。

　　　　　　スイスにいくら慣れても、すごく強い根をはったとしても、
　　　　　　日本はいつまで経っても、私の故郷であることには変わりはないのだから。

　　　　　　スイスへの想い、日本への想い。

　　　　　　今はまだその狭間で、もがいているのかもしれない。

　　　　　　今回は誰かが「無理すんな。帰っていいんだよ。」と、そんな私の背中を押した。

　　　　　　だから、うんと楽しんでこようと思う、１年ぶりの故郷・日本を。

　　　　　　NEXT